道路工事の交通誘導は、どの道路でも同じ警備員でいいわけじゃない。
道路によっては、検定に合格した警備員(交通誘導警備業務の1級または2級)を置く決まりがある。

現場に着いた警備員がまず考えるのは、標識、規制帯、どうやって車を流すか、といったこと。
そちらに頭がいっぱいで、道路そのもののルールにはなかなか気づけなかったりする。
(自戒をこめて。警備員側の落ち度でもある、と思っている。)

資格者がいないまま作業が進んでしまうのは、警備側にとっても、工事側にとっても、よくない状態。
警察に見つかったときには、資格者がいるかどうかや、工事について詳しく聞かれたりする。
(私の現場経験。だから、先に知っておいてほしい。)

■ そもそも、なぜ資格者を置くルールがあるのか

それは、危険で、混雑していて、難しい道だから。
新人の警備員が初日に配置されて、こなせるような場所じゃない。
ベテランでも轢かれてしまうような道でもある。
本当はそこが大事なんだろうなと思いながら、私は現場に立っている。

■ 決まりを負うのは警備会社

根拠は警備業法第18条と「警備員等の検定等に関する規則」。
配置義務を負うのは警備業者。
対象は、高速自動車国道・自動車専用道路と、都道府県公安委員会が指定した路線。
指定路線では、その場所に検定合格警備員を1人以上置く。
どの道路が指定されているかは都道府県ごとの告示で決まっていて、都県によって違う。

警察の解釈運用基準では、資格者は「常時」その業務をしている必要があり、業務上の必要のため短時間その場を離れる程度は、社会通念上継続して実施しているといえる場合に限って認められる、とされている。

■ 「歩道から出なければ大丈夫?」

道路交通法第2条では、歩道は「歩行者の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によって区画された道路の部分」。路側帯も道路の部分。
配置基準の対象は「道路における危険を防止するため必要と認める」交通誘導。
だから、指定路線の歩道側での誘導も、路線上の業務として扱われると読むのが自然。

⚠️ これは私の推測。検定規則が「道路」をどう定義しているかまでは確認できていない。
「歩道だけなら不要」と決めつけないほうが安全、という意味で書いてる。
少なくとも神奈川県警察は、配置路線では歩道なども資格者配置が必要と明記している。ほかの都県で迷う場合は確認を。
■ 「規制帯の中だけなら?」「数分だけ?」「幅寄せだけ?」
「路線外の工事で、一時的に指定路線を片交するなら?」

「工事そのものは路線外だけど、指定路線上で一時的に交通誘導をする」「規制帯の内側だけで誘導する」といった場合は、工事場所だけでなく、実際に交通誘導警備業務を行う場所が指定区間に当たるかを確認したい。
「数分だけなら資格者は不要」という一律の例外は、確認した法令・公開資料には見当たらなかった。

誘導場所や作業内容が曖昧なら、着工前に警備会社と所轄へ具体的な位置・方法を伝えて確認し、やり取りは書面やメモに残しておくのがおすすめ。

■ 「道路使用許可」は別の制度

道路で工事や作業をするときは、原則として道路交通法第77条で現場を管轄する警察署長の許可(道路使用許可・1号許可)が必要。
工事の申請では、工事概要、現場案内図、作業帯図、交通量調査結果などを出す(警視庁の場合)。工事内容によって、これら全てが必要とは限らない。
許可の条件は警察署長が付け、安全のために変更されたり、取り消されたりすることもある。

道路使用許可と、警備業法上の資格者配置は別の制度。
道路使用許可を取ったことだけで、指定路線での交通誘導警備業務に必要な資格者の配置が免除されるわけではない。
ただし、道路使用許可の条件に警備員の配置が含まれるかは、個別の許可内容を確認する。

作業に伴って工事車両を道路に止める場合、「車両を作業に使うなら道路使用許可の中で見てもらえる/ただ止めているだけの駐車・待機は別扱い」という説明を行政書士さんのサイトで見かけたけど、公的な資料では確認できていない。車を止める予定があるなら、申請のときに所轄へ必ず確認して。

■ 調べ方

各都県警のサイトに告示や一覧はあるけど、路線名だけだと現場の位置と結びつけにくい。
そこで作ったのが「けんてーどーろまっぷ」。
関東7都県版なら、住所検索やGPSで、現場が指定路線に当たるかの目安を見られる。
検定路線とは何か、の解説ページもある。

📌 この記事と地図の判定は参考情報。法令の解釈は運用上の一般的な見解で、公式見解じゃない。
最終判断は所轄の警察署・都道府県警で。

ルールって、難しい。

参考にした資料(一次情報)
・警備業法(e-Gov法令検索):第18条(特定の種別の警備業務の実施)
・道路交通法(e-Gov法令検索):第2条(道路・歩道・路側帯の定義)、第77条(道路の使用の許可)
・警備員等の検定等に関する規則(e-Gov法令検索):第2条 表の6の項
・検定合格警備員の配置基準(警視庁)
・道路使用許可の概要(警察庁)
・道路使用許可申請手続(警視庁)
・警備業法等の解釈運用基準(第17・法第18条関係)